全国で拡大している変異した新型コロナウイルスとして注目されているオミクロン株は、症状や重症化・入院の割合、感染力など、従来のコロナウイルスとの違いが報告されています。またオミクロン株の系統の1つで”BA.2″と呼ばれる変異ウイルスが注目されています。
ワクチンを受けていない高齢者が新型コロナウイルス感染症にかかってしまうと、重症化しやすいというのは明らかですから、受けられる人は3回目の接種までしっかりと受けられることが推奨されています。
新型コロナウイルス
これまで、お口の中の状態、特に歯周病と新型コロナウイルスの重症化リスクの関係が報告されてきました。それによると、歯周病を持つ新型コロナウイルス感染者は症状が悪化しやすく、集中治療室での治療が必要になる危険性が高くなることが結論づけられています。
従って普段から、お口の中の衛生管理(ブラッシングやマウスウオッシュ)に気を使っていただくとともに、新型コロナウイルスの重症化のリスクを少なくするためにも、歯周病を放置せず治療することが望まれます。また、メンテナンスに定期的に通い、普段から歯肉の健康を心掛けることが重要だと思われます。
一方、オミクロン株に感染した後の、併発症がどの程度出るのか、各国で関心が高まっていますが、まだはっきり分かっていません。従来の新型コロナウイルスでは、感染を経験した10%から20%ほどで、けん怠感や息切れ、認知機能障害などの後遺症がみられ、一般的に日常生活に影響を及ぼすとされています。また、感染初期の重症度と、その後に後遺症が現れるかどうかに関連はないようだとしています。
オミクロン株以前のウイルス株に関しては季節性インフルエンザの後遺症との比較がなされていますが、持病をもっているハイリスク患者さんを除いては、季節性インフルエンザによる併発症と大差ない(ただし、脱毛、心不全、気分障害、認知症を除く)と報告されています。
一般的にはあまり知られていないことですが、最近の研究では、併発症の中で最も発生頻度が高いのは歯周病(15.61%)であると報告されています(2022年2月)。ちなみに、2番目は筋骨格障害(13.24%)、3番目は胃腸障害(11.39%)と続きます。肺炎は3.0%、循環器系の障害は0.56%であり、これらは重症化ではなく発生頻度に限っていえば季節性インフルエンザと大差はありません。
新型コロナウイルス感染症の重症化予防や併発症の面からも、歯周病は新型コロナウイルス感染症と大きく関わっていることから、普段からの口腔の衛生管理が重要であることが示唆されます。
参考文献
1)Siddharthan S, Naing N N, Wan-Arfah N,Periodontal Disease and COVID19、Journal of Pharmaceutical Research International, 32(32),88-91, 2020.
2)Marouf N, Cai W, Said K N, et al, Association between periodontal and severity of COVID-19 infection: A case-control studt, J Clin Periodontol,48,483-491,2021.
3)Lee H, Sung H K, Lee D, et al,Comparizon of Coomplications after Coronavirus Disease and Seasonal Influenza , South Korea, Emerg Infect Dis, 28(2), 347-353,2022 Feb.
口腔ケアステーション石倉歯科医院 あんしん歯科情報ブログ・2022/3/25号より引用