噛むことの重要性が注目されています

文藝春秋8月号(8月1日発行)に掲載されている医療ジャーナリストの油井氏が執筆した記事「噛みトレで寝たきりはなくせる」が改めて、医科・歯科ほか関連医療職の連携の必要性を強調している。「ガムで前頭葉前野を活性化」「医療費は約110に」「胃ろう造設術の点数の引き下げ」「寝たきり患者が一人もいない」が中見出しで構成されている。

大分県佐伯市の開業医・歯科河原英雄医院の河原英雄氏が行なっている「噛むトレーニング」の紹介。寝たきりの患者をクローズアップ。口腔内を清潔した後、噛むトレーニングを実施してから患者が改善していくが、結果として、「体を起こし、箸を使用して食事をするようになり、経管栄養や胃ろうが必要なくなるまで、元気になった」とした。同時に、口腔衛生学会雑誌(寺岡佳代他)から「咀嚼能力の高い人ほど、握力、敏捷性、社会性などの能力が高いという結果が出ている」と咀嚼の有効性を紹介。咀嚼能力の回復が、脳卒中後のリハビリの効率を高める研究もあるとしている。

「口から食べる医療」に論点が移ると、福岡県糸島市で開業している、つかもとヘルスケア歯科の塚本末廣院長からの臨床報告や香川県歯科医師会の歯と医療費の関係を調査した結果からも医療費削減に寄与しているとした。そのほか、植田耕一郎・日大歯学部教授(摂食機能療法学講座)の取材からのコメントも紹介し、「食べる機能を維持する歯科医療がきちんとできれば、毎年1兆円ずつ増加している総医療費は、確実に減るでしょう」と富野晃・日歯副会長のコメントを紹介している。
その一方で、医科・歯科・介護の一体となったチーム医療の実践例として長崎リハビリテーション病院の臨床の具体例を示した。厚労省医政局の主催で開催された「チーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG)」の委員でもあった、栗原正紀・病院理事長は、WGでも積極的に、歯科衛生士の活用・効果を強調し、広く委員にその評価を求めていた。

記事では、同理事長の「口のリハビリシステムが構築できれば、日本の寝たきり高齢者は激減するはずです」とコメントを紹介している。最後は、「高齢者医療に今必要なのは「最後まで、口から食べる喜びと」という選択肢が保障されることではないだろうか」とまとめている。
以上が記事の概要であるが、前出の長崎リハビリテーション病院が取り組んでいる、歯科衛生士の活用のオープンシステムを以下に紹介する。
具体的には、まず患者さんが入院すると全身状態や障害の程度と併せて、必ず口腔状態に関しても歯科衛生士と看護師が中心となって衛生状態や口腔機能などを含めたスクリーニング・評価を行う。そこで歯や歯肉に問題があったり、口腔機能が落ちていたり、義歯の調整が必要な場合は歯科衛生士が治療プログラムを提案し、主治医と患者さんに相談。結果、歯科医師の診療が必要となれば、患者さんにかかりつけの歯科医師がいる場合は連絡を入れて病院への訪問診療を打診し、かかりつけ歯科医が訪問できない場合やかかりつけ歯科医がいない場合は登録医に訪問診療を要請するというもの。このシステムの今後の動向・臨床データなどが注目される。

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