重度の歯周病患者における遺伝子変異が見つかる

東京医科歯科大学の和泉雄一教授らの研究グループが治療の難しい侵襲性歯周炎の遺伝子変異を同定しました。歯周病は慢性歯周炎と侵襲性歯周炎に分けられますが、より治療の難しい侵襲性歯周炎に関連する遺伝子変異がいくつか判ったことにより、この病気がより深く解明され、治療法につながることが期待されます。

以下その概要(プレスリリース http://www.tmd.ac.jp/press-release/20170706_1/index.html より)です。

歯周病は生活習慣病の1つで、慢性の細菌感染による過剰な免疫反応によって起こる炎症性疾患です。炎症反応が歯槽骨の破壊を引き起こし、歯牙の動揺さらには喪失につながります。侵襲性歯周炎は劇症型の歯周病であり、糖尿病等の全身性疾患の既往がなく早期に発症し、生活の質 (quality of life, QOL)を著しく損なう疾患です。家系内での発症があるという特徴から遺伝要因の関与が示唆されており、これまで候補遺伝子アプローチによる遺伝学的研究が行われてきましたが、原因遺伝子の同定には至っていませんでした。

研究グループは侵襲性歯周炎罹患者99人をリクルートしました。そこから侵襲性歯周炎罹患者を複数含む2家系(罹患者5名、非罹患者1名)のエクソーム解析を行いました。絞られた候補遺伝子に対し、サンガー法により変異の確認をしたところ、2家系の罹患者全員にNOD2遺伝子のミスセンス変異が同定されました。さらに残りの94人におけるNOD2領域の変異の有無を検討するためにターゲットリシークエンス解析を行ったところ、あらたな変異が3箇所(全体で5箇所)同定されました。

本研究結果により、侵襲性歯周炎の遺伝的背景の一端が特定されました。NOD2は自然免疫に重要な細胞質内受容体で、グラム陰性菌の構成要素であるMDP(Muramyl dipeptide)を認識して炎症シグナルを惹起することが知られております。またクローン病などの炎症性腸疾患の原因遺伝子として報告されており、細菌感染症全般の原因解明にもつながるものと考えられます。また今後NOD2変異が侵襲性歯周炎の病態に与える影響をさらに明らかにしていくことで、新規治療法や診断法の開発につながることが期待されます。

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